■1枚のキャンバスに自らの思い描く世界を表現

秋田中央高校美術部のたった1人の部員として活動する佐々木さん。小さい頃から絵を描くことが好きで、中学時代は総合文化部に所属し、水彩画やポスターの制作などに取り組んでいました。高校進学の際には運動部に入ろうか迷ったそうですが、「自分がいちばん熱中できるのは絵を描くこと」という思いから美術部へ入部し、洋画分野で本格的に絵を描き始めました。

「洋画の中でも風景画を描くことが多く、自分の目で実際に見て直感的にいいと感じたものや、好きなものを作品の題材にしている」

そう話す佐々木さんが作品づくりのヒントにしているのは、ほとんどが自宅周辺の風景です。散歩を欠かさず、自然が生み出す空模様や刻々と変わる景色を写真に収め、「スマートフォンは風景写真で埋め尽くされている」と、その数は膨大なものになります。

その写真を参考に、自らの感性に基づいた色彩感覚に加え、得意とするグラデーション(※)などの色の使い方を駆使し、縦1メートル20センチ、横1メートルの大きなキャンバスに自分の思い描く世界を表現します。

「絵の中に登場する一つひとつの物に合った色の塗り方や、全体の統一感を出すことなど難しい部分はあるが、理想通りに描けているときはとても楽しい。どうしたらうまく絵で表現できるかということを考えながら、技術を磨いている」

飽くなき向上心を抱きながら、絵を描くことと向き合う佐々木さん。現在手がけているのは、11月の県高校総合美術展に出品する作品で、風景の中に「人物」を取り入れた構図のものです。

佐々木さんは、「人物を描くのは苦手だが、その部分をいかに自然に魅せながら、よりリアルに風景の自然な感じを伝えたい」と、自分への挑戦の意味も込めた作品で上位入賞を目指します。